マーケティングの基礎から分かる!経営者のための入門ガイド①
目次
はじめに:なぜ今マーケティングが重要なのか?
「うちの会社は昔からの付き合いだけで十分やっていける」
「マーケティングなんて大手企業がやるものでしょう」
「広告を出してもあまり効果がなかった」
こういった声をよく耳にします。しかし、取引先の世代交代や、若手社員の台頭により、「これまで通り」が通用しない時代になってきています。
マーケティングって本当は何をすること?
分かりやすい定義
マーケティングとは、「お客様に商品やサービスを継続的に選んでいただくための仕組みづくり」です。
たとえば、こんな経験はありませんか?
- 営業担当者が退職すると、その担当先との取引が減る
- 良い仕事をしているのに、なかなか新規の取引が増えない
- 値引き競争に巻き込まれて、利益が出にくい
これらは、「仕組み」が不足している典型的な例です。
具体例:町工場の事例から学ぶ
金属加工を手がける創業40年の町工場A社では、以下のような変化がありました:
変化前:
- 社長の人脈で仕事を獲得
- 職人の腕で勝負
- カタログも会社案内もなし
変化後:
- 得意な加工方法を明確化
- 過去の納品実績をデータベース化
- 新規問い合わせ時の対応手順を標準化
結果:
- 新規問い合わせが月2件から8件に増加
- 見積り作成時間が1/3に短縮
- 利益率が15%向上
成功する経営者が押さえるべき3つのポイント
1. お客様を知ること
「お客様を知る」といっても、アンケートや市場調査から始める必要はありません。
まずは、こんなことから始めてみましょう:
- 直近3年間の取引データを見直す
- どんな業種のお客様が多いか
- どんな商品・サービスが人気か
- 季節による変動はあるか
- 営業担当者から情報を集める
- お客様からよく聞く要望は何か
- クレームの内容にパターンはあるか
- 競合と比較されるポイントは何か
2. 売上アップの仕組みを作ること
以下の3つのステップで考えてみましょう:
Step 1: 情報の整理
- 会社の強み・弱みの洗い出し
- 主力商品・サービスの明確化
- 理想的な顧客像の設定
Step 2: ツールの整備
- 会社案内の作成
- 製品・サービス説明資料の整備
- 実績や事例集の用意
Step 3: 対応の標準化
- 問い合わせ対応手順の作成
- 見積り作成プロセスの統一
- フォローアップの仕組み化
3. 継続的な改善を行うこと
売上アップの基本サイクルは以下の通りです:
- 見える化
- 問い合わせ件数の記録
- 成約率のチェック
- 客単価の把握
- 分析
- 成功案件の共通点探し
- 失注理由の確認
- 季節変動の確認
- 改善
- 成功パターンの標準化
- 提案資料の改善
- 営業トークの見直し
よくある誤解と真実
誤解1:「広告を出せば売れる」
✗ 広告は「仕組み」の一部でしかありません
○ まずは受け入れる態勢を整えましょう
誤解2:「SNSを始めれば認知度が上がる」
✗ やみくもな情報発信は逆効果
○ 発信する内容と目的を明確にしましょう
誤解3:「高額なシステムを入れれば効率化できる」
✗ システム導入が目的化してしまう
○ まずは紙とエクセルから始めましょう
明日から始められること
すぐにできる3つのアクション
- 営業担当者全員に「お客様から言われて嬉しかった言葉」を聞く
- 主力商品・サービスの説明を文章にまとめる
- 問い合わせ対応の手順を箇条書きにする
1週間以内にできること
- 過去3年分の売上データを商品・サービス別に集計
- お客様との会話で出た要望をメモに残す習慣をつける
- 会社の強み・弱みを社員全員で話し合う
まとめ
マーケティングは難しく考えすぎる必要はありません。要は、「お客様に選ばれ続ける仕組み」を作ることです。まずは自社の現状を見える化し、小さな改善から始めていきましょう。
次回は「すぐに実践できる!具体的な施策と予算の使い方」をご紹介します。そこでは、予算規模別の具体的なアクションプランと、費用対効果の高い施策の選び方について解説していきます。
コメント